出す物・出す人・出す所

要するに便所と、それに関するお話の本の紹介です。
 お食事中の人・汚いお話が苦手な方はご遠慮願います。
 でも、誰でも出すし、お世話になる場所なんですけどね。

『東方見便録‐『ものだす人々』から見たアジア考現学』斉藤政喜著・内澤旬子イラスト 文春文庫
 バックパッカーのプロとも言える作者がアジア諸国のトイレにこだわって旅するルポ。
 中国・サハリン・インドネシア・ネパール・インド・タイ・イラン・韓国のトイレを徹底観察、内澤旬子のイラスト入りで各国による違いがはっきり分かる。
 豚が出した物をすぐに食べる便所、川に流す便所(すぐに魚たちが、よってきて食べてしまう→その魚を釣り上げて食べてしまう作者もすごい)、全方位解放便所などなど全世界を旅した作者すら驚く便所と人々の便所に関する感覚がぎっしり詰まっている本です。
 笑いながら、そして何かを考えさせてくれる一冊です。
 (03.10.27新規)

『犯罪の民俗学‐明治・大正・昭和犯罪史から第一部第一章「脱糞論」』礫川全次著 批評社
 窃盗犯のジンクスの一つに「犯行現場でウンコをすれば捕まらない」というのがあります。かの夏目漱石も窃盗に入られた時に泥棒に庭先でウンコをされています。このジンクスを犯罪心理学から分析したのが、この文章であります。ジンクスのいわれは「足がつかない」から来ているが実際には「窃盗をする時に緊張する→便意を催す→落ち着くために脱糞する」というサイクルが成立しており、それがジンクスとして定着してしまった(先輩泥棒が後輩にアドバイスとして教える→そのために判りやすい形「ウンコをすると捕まらない」になった)と言うのが実態のようです。
 真面目ながら面白い文章であります。
 (04.03.08新規)

『江戸のおトイレ』渡辺信一郎著 新潮選書
 江戸時代の便所について述べた本です。特に筆者は古川柳に目を付け表舞台に出てこない当時の便所やされにまつわるもの(屁や月経、屎尿処理、便所のぞきなど)について考察しています。何しろ尾籠な物ですけど、しないわけにも行かない物ですから多くの古川柳や絵が残っています(絵が結構面白いのです)。同じ便所の使い方でも江戸と上方、田舎はそれぞれ違うものだと教えられたりして民俗学的にも大変面白いです。
 笑いながらも、しみじみとさせられる一冊です。
 (04.06.28新規)

『トイレのお仕事‐ニューヨーク・トイレ再生物語』松永はつ子著 集英社新書
 公衆便所というと、どういうイメージでしょうか?やっぱり多くの場合、汚い、臭い、怖いでしょう。そのトイレの常識に対して勝負を挑んだ女性の物語。彼女はOL時代に幼稚園の便所に壁画を描いたことに始まってトイレ壁画デザイナーとしてデビュー、続いてJRお茶の水駅のトイレなど多くの壁画を制作・・・そして彼女は遂に海を渡ってニューヨークへ、夢はニューヨークの公衆トイレを変身させること・・・英語は出来ない、資金もない、つても無し、それでも彼女は実現させてしまったのです(ニューヨーク水族館)。悪戦苦闘七転八倒のトイレ再生物語を彼女が自らの手で記述しています・・・とっても面白い本です。
 (04.09.02新規)

歴史民俗学資料叢書〔第二期第1巻〕『厠と排泄の民俗学』礫川全次編 批評社
 近代日本における日本の糞尿利用と糞尿観について書かれた文書(主に明治以降〜戦後すぐまで)を集めた1冊。日本人の糞尿観を古代文献から集めた文章や肥料としての糞尿を扱った文章、糞尿の成分を男女職業別に分析した文章、衛生的(糞尿を介して伝染すね病気・・・すなわち赤痢・チフスなどの伝染病と寄生虫感染を防止する)な便所に対する提案、糞尿を巡る迷信、糞尿に関する言葉、東アジア諸国と日本の便所の比較などてんこ盛りの内容になっております。面白いのは岩村透著『日本の糞と西洋の糞』・・・日本人の糞は西洋人の糞より太くて立派であると書いてある文章、笑えます。
 (04.09.17新規)

『落し紙以前』斎藤たま著 論創社
 紙でお尻を拭く前は何で拭いていたのでしょう?それを全国を調べて回ったのがこの本です。紙以前は大きく分けて3種類・・・葉っぱ(柿・とうもろこし皮・蕗・葛・楢・えびくさ・おそぐさなどなど)・ちゅうぎ(へらの類・・・うるし・竹など)・縄であります。土地土地の老人などに尋ねて回って調べた結果がこの1冊にあります・・・紙以前にはやはり近くにある植物を多用していたことがよく判ります(その後は肥料にもなった)。他にも便所についての考察や便所に関する伝承などについても書かれている本であります。
 (05.09.22新規)

『居候勹々』内田百聞著 ちくま文庫『内田百聞集成(14)』収録
 注・勹は勹の中に夕の字です。
 内田にしては珍しい(多分唯一)新聞連載小説です。あらすじはドイツ語教師の家に居候した学生が周囲に起こった出来事をおもしろおかしく書いたものです・・・ただし連載中に掲載していた新聞が潰れてしまうという事態に巻き込まれてしまった可愛そうな小説です。糞尿譚(主に屁の話)は下宿先のネコツラ先生のところに同僚のオットセイ先生が遊びに来ていっぱいやっている時に出た話・・・ふたりしてでたらめな「屁」に関する蘊蓄を語り合う姿が書かれています・・・この小説を読んでいて一番笑える所だと思います。
 (04.09.17新規)

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