阪神間と神戸

 私の生まれて育って学んで働いて今、生活している場所です。
 そして一番好きな地域。
 でも、不思議な地域です。ずっと生活していたので気が付きませんでした。
 就職して色々な地域の人と話をするようになって気付いたのです。
 色々、考えた結果、一つの結果を自分なりに出してみました。
 反論はあると思いますが「阪神間と神戸は日本一おしゃれな田舎」であると、
 何故?説明すると大変なのでここでは説明しません。ただ、この結果を出したのが阪神・淡路大震災の後ということです。
 それでは、まいりましょう。

『サード・ガール』西村しのぶ著 道草文庫(小池書院)
 いきなりです。大震災前の美しい神戸と阪神間を舞台にした描いた恋愛コミック。文庫版で全6巻(7巻は出るの?)。
 あらすじ・・・根っからの神戸っ子の夜梨子(14歳)は大学生涼と美也のカップルに割り込み三角関係に、その後夜梨子にも彼氏が出来て、複雑な恋愛関係が・・・でも明るく楽しい恋愛関係を神戸と阪神間を舞台に進展していきます。失恋しても、明るく元気な夜梨子、長身・理系・おしゃれな美也の二人の女性は魅力的。
 あまりに、この地域に住んでると、あまりりにリアルな背景(何しろ見たことある風景ばかり)と絶対に現実にはあり得ない恋愛模様のアンバランスが不自然でないのが不思議なところ。そして、生活感のある風景(食事シーンの多いこと)でも生活臭さがないところ。いい感じです。
 そして夜梨子の神戸っ子の本音の発言が好き。例えば東京生まれの涼をつかまえて「地方出身者なのね」とか新幹線を見て「阪急電車と阪急バスと阪急タクシーしか知んないもんね」とか言うシーンは宝塚出身、作品執筆時神戸在住の作者でなければ書けない台詞。
 本当に、おしゃれな作品です。男女ともオススメです。
(でも、この本を私が読んでるって言うと「キャラクターに合わない」と必ず言われる。確かに自分でも思うけど)
 こんな生活してみたいな・・・絶対に無理。あこがれるだけにしときましょう。

『一緒に遭難したい人』西村しのぶ著 主婦と生活社
 今のところ1巻のみ発売中(2巻は出るのだろうか・・・連載は再開したらしいけど)
 こちらも神戸が舞台の恋愛コミック。神戸税務署勤務のマキちゃんと無職のキリエ(一様、フリーライター)の恋愛模様。
 背の高い女の人が出てくるところ、食事ネタの多いところ、そして未完結のままだらだら続いているところ(おいおい)、そして舞台が神戸であるところ・・・西村しのぶ作品の王道といって言い作品。
 読んでると、なぜか心がなごんでしまう、癒し系といってもいい作品。
 「今日は早起きしたんだね」「ん7時に起きたわ」「えらいぞ食券をあげよう。食堂は地下にあるからね」(神戸税務署にて)
なんて会話を読んじゃうと、なごんでしまう。
 キリエと絵衣子みたいな人がいれば「そごう」はつぶれなかったかも?なぜ?読めば判ります。

『VOICE‐西村しのぶラブ・ストーリーズより』西村しのぶ著 道草文庫(小池書院)
 全1巻の短編集からの短編。
 高校時代の初恋の人との再開から料理の道を目指した主人公山科留華、その彼日下雅人との8年ぶりの再開の日がやってくる。
 しかし彼は結婚した事を知る、その後での再開。
 そこで起こる大どんでん返し・・・。「ああ職場を汚すったら」の台詞がいい。
 別に阪神間とも神戸とも書いてないけど・・・間違いなく舞台はそうでしょう。おしゃれで気のきいた話。
 他の短編もいいです。

あまり「西村しのぶ」作品ばかり紹介するのも何なので違う人の作品を
『神戸在住』木村紺著 講談社アフタヌーンKC
 現在7巻まで発売中。
 今度は震災後の神戸が舞台(今が舞台)。等身大の神戸の日常生活が描かれています。
 もちろん、大震災のことも・・・「西村しのぶ」があえて大震災に触れないのとは逆に・・・どちらも正解だと私は思う。
 日常生活のほんの小さい喜怒哀楽と神戸の風景・・・とっても感覚がいいです。大震災の記憶の所は読むのが少しつらいけど。
 でも、ほっとできる作品です。そして、神戸らしさが出ている作品。
 (05.02.23改訂)

次は小説を幾つか紹介したいと思います。
『彗星物語』宮本輝著 角川文庫
 上下2巻の小説。
 舞台は昆陽池(伊丹市)の近く。阪神間を舞台にする小説を多く書く宮本輝の中編小説。
 落ちぶれつつある大家族に一人のハンガリーから留学生がやってくる所から話は始まる。
 留学生を迎えた事で総勢13人と1匹の大家族間に起こる数々の問題、でも家族は離れたり寄り合ったりしていく事で解決していく。
 そして留学生は祖国に帰っていく。
 色々な問題(中には深刻なものもある)、でも、やさしい関西弁が柔らかい空気を作っている好作品。
 後、家族の愛犬と祖父がいい味を出しています。祖父福蔵の「名字がンで始まるようなやつに、わしの孫が嫁入りするのんを、わしは許さん。わしの目の黒いうちは、断じて許さん」は中でも名台詞。他のキャラクターもたっていて、いい作品です。

『ヰタ・マキニカリス』稲垣足穂 河出文庫
 上下2巻の不思議な物語。
 舞台は神戸を中心とする世界中。
 本当に不思議な世界、現実と幻想が入り交じり宇宙博覧会の機械館、理想は「美少年と美少女の結合の上に生まれるコバルト色の新文明です」と著者は述べている。
 北極光・記憶・放熱器・リビアの月夜・電気の敵・ココァ山の話・星を造る人・チョコレット・天体嗜好症・花火・彗星などなどの言葉が宝石のように変化していく様は言葉の魔法・・・これ以上の表現は出来ない世界観。
 面白い世界観が漂う作品です。
 (01.11.18新規)

『神戸ものがたり』陳舜臣著 平凡社ライブラリー
 今度はエッセーです。神戸在住の作家陳舜臣が愛情を込めて書きつづった作品。
 基本的には震災前に書かれた作品ですけど(震災後のエッセー1本が追加されてますが)神戸の良い空気が漂っている気がします。
 神戸の歴史書兼ガイド・ブックにもなります。

『西村しのぶの神戸・元町“下山手ドレス”』西村しのぶ著 角川書店
 またも「西村しのぶ」の作品。コミック・エッセーです。
 月刊Newtypeに13年間連載され続けた作品(現在も連載中)。
 まさに神戸・元町を感じさせてくれる、そして13年間の歴史を感じさせてくれる楽しい、笑える作品集。
 直接、神戸に関係ない話も多いけど、それはそれで楽しめます。
 しかし発売まで時間かかったなぁ。そして「西村作品」の紹介多いよなぁ、別項目作ればよかったかな?(01.02.01新規)

続いてはノンフィクションです。阪神間と神戸の文化と歴史についての本を紹介していきます。
『宝塚戦略‐小林一三の生活文化論』津金澤聴廣著 講談社現代新書
 阪神間を代表する文化に私鉄文化があります。旧国鉄を中心として発達した関東とは違い関西、特に阪神間では私鉄が交通の大きな役割を担ってきました。その代表例が阪急電鉄を中心とした阪急戦略(宝塚戦略)なのです。
 阪急電車の創始者「小林一三」はただ、鉄道を走らせ経営するだけでなく周辺の文化もクリエートしてしまう。何も無いところに線路を引きターミナルには人を呼べる施設(歌劇・野球場・百貨店)を作る。何もない土地を買っておき住宅地や学校用地として売り出す。それには、少しだけ高級感を与えてイメージアップを図っておく。こうすれば、安定的に電車に人が乗るようになる、こうすればグループとして儲かるのだ。
 但し、難しいのは「少しの高級感」をいかに与えるかである。小林一三には、そのセンスがあったのだ・・・それが宝塚戦略である。このあたりの事を書いたのが本著です。
 この本を読むと『サード・ガール』の夜梨子の台詞「阪急電車と阪急バスと阪急タクシーしか知んないもんね」の意味が見えて来ます。

『わが小林一三‐清く正しく美しく』阪田寛夫著 河出文庫
 阪急電車の創始者であり宝塚戦略(阪急戦略)を生み出した「小林一三」の評伝。いかにして彼は阪急戦略を思いつき、宝塚歌劇を作り出せたのであろうか?
 その秘密に迫る作品です。例えば彼が若い頃、芝居道楽に浸っており、それが宝塚歌劇に繋がって行くところなどは、面白いです。
 阪急戦略を深く知りたい人に、お勧めの一冊です。

東京人1998年5月号特集『「小林一三」って、どんな人?』 東京都歴史文化財団
 もう1冊、「小林一三」について書かれた本を紹介しましょう。今度は関東の人から見た関西人「小林一三」の紹介です。
 「都市生活」の発案者・「夢」のライフスタイルは「小林一三」が作ったと定義しています。「大衆」をつかんだ実業家「小林一三」の痕跡を丁寧に解説しています。「東京に残した足跡」や「年譜」が掲載されている点もポイントです。
 雑誌の特集としては十分な内容です。宝塚歌劇についても書かれています(これも立派な阪神間文化)。

『タカラジェンヌの太平洋戦争』玉岡かおる著 新潮新書
 小林一三の作り上げた宝塚歌劇も太平洋戦争の影響を受けないわけが無かった、その荒波の中タカラジェンヌとファン達は暗い時局の中、一筋の光を求めて必死にあがいていた・・・死と隣り合わせた時代でも「すみれの花」を忘れなかった。当時の歌劇関係者(当時の現役歌劇の役者さん宝塚音楽学校の生徒やファンだった人・・・女性も男性も(実は宝塚歌劇のファンは女性ばかりでなく男性ファンも結構いる、私の亡くなった祖父は若い時に歌劇に通っていたし、私の大学の恩師も大の宝塚ファン))のインタビューは読んでいて大変興味深い(宝塚について語る時、どの人もとても生き生きしているのだ)。太平洋戦争下の阪神間の人々の生活を知るのにも良い1冊。
 (04.12.20新規)

 阪神間の鉄道については以下の本が参考になるかと思います。
『鉄道ジャーナル1999年5月号特集「京阪神都市圏電車の魅力と実力」』 鉄道ジャーナル社
 阪神間だけでなく京都を含めた京阪神間の電車についての特集本です。
 まずはJR新快速・JR京都駅・南海電車と進んでいきます。
 そして「阪急の暖簾をくぐる」で阪急電車の魅力を神戸線を中心に深く掘り下げています。
 「するっとKANSAI」についての記事もあちらこちらに・・・興味深いシステムです。一枚のカードで関西のほとんどの私鉄が乗れるシステムです、結構これが便利なんだな。
 (01.02.18新規)

『鉄道ジャーナル2000年7月号特集「京阪神都市圏の鉄道2000」』 鉄道ジャーナル社
 上記と同じく京都までも含んだ京阪神間の鉄道についての特集本です。
 まずは新大阪駅、そしてJR新快速(京阪神間最速だそうです)、アーバンネットワーク輸送の歩みとJR中心の記事紹介。
 その後で「関西パワーが生んだ新サービス、スルッとKANSAI」について詳しく解説。
 このシステム・・・元は阪急が開発したストアードフェアシステム。それに阪神などの全5社が参加したシステムが誕生。それが今では数十社の私鉄・バスが参加するシステムとなった事が書かれています。これも阪急商法?。
 (01.02.23新規)

『阪神間モダニズム‐六甲山麓に花開いた文化、明治末期〜昭和15年の軌跡』「阪神間モダニズム」展実行委員会 淡交社
 明治から昭和初期の阪神間の歴史と文化について書かれた本です。
 この本は4カ所の博物館「兵庫県立近代美術館・西宮市大谷記念美術館・芦屋市立美術博物館・芦屋市谷崎潤一郎記念館」が合同開催した「阪神間モダニズム展」の図録のかわりになるものです(4カ所共同開催は珍しい)。
 郊外住宅地の形成・阪神間の建築・ライフスタイル・美術家たちの挑戦・「新時代」の娯楽・モダニズム論などなど、ありとあらゆる観点から記述されています。
 新日本趣味・健康地のライフスタイル・ホテル文化・昭和ベル・エポック・ロシア人音楽家たち・阪神間出版事情・二楽壮・「痴人の愛から細雪」へ・阪神間の教育・新興美術運動・芦屋カメラクラブ・宝塚歌劇・ダンスホール・阪神間に生まれた映画・鳴尾から甲子園へ・六甲山をめぐるスポーツと娯楽・・・などなど多彩な内容は阪神間研究の基本の1冊となるでしょう。

『阪神間の文学』武庫川女子大学文学部国文学科編 和泉書院
 阪神間にまつわる文学史。基本的に古典的な文章を中心に書かれています。
 古くは万葉集に始まって源氏物語・平家物語・処女塚をめぐる話・井原西鶴・近松門左衛門・江戸川柳、最後の方で谷崎潤一郎と詩人谷中郁のモダニズム詩と解説が続きます。
 現代作品では『少年H』について触れているだけです。出来れば宮本輝などの多くの現代作家について言及してくれれば、なお良いと思われます。
 (01.03.31新規)

『神戸雑学100選‐まちの大発見・小発見』金治勉・先崎仁共著 神戸新聞総合出版センター
 神戸についての雑学百科。
 神戸のルーツ・歴史・外国人・隠れた名所・日本初・日本一・神戸弁・横浜との相違・神戸の自然・神戸の産業などなど読みやすく各話題が2〜4ページにまとめられて大変読みやすいです。
 震災後の神戸に対する苦言も耳を傾ける必要あり。
 (04.01.01新規)

『神戸とお好み焼き‐まちづくりと比較都市論の視点から』三宅正弘著 神戸新聞総合出版センターのじぎく文庫
 お好み焼きと言えば普通大阪か広島・・・でも神戸にもお好み焼き文化があります。何故、地域に根付いているかというと「地ソース」というものがあります、即ち地元で作られたソースを使って味付けされたお好み焼きがあると言うことです。神戸におけるお好み焼きの前進は他の地域と違い「にくてん」や「洋食焼き」と呼ばれるものでした。
 神戸におけるお好み焼きの歴史と地域との関連を簡潔に述べた一冊です。
 (04.07.18新規)

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