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『象徴天皇の発見』今谷明著 文春新書
いろいろ議論を呼んでいる戦後日本国憲法、GHQの押しつけで完成したと言われるものでもある。
その中に象徴天皇制があります。
しかし、象徴天皇制はGHQが考え出したことでしょうか?それは日本人の潜在的意識や制度の中に元よりあったのではないのでしょうか?。
本書では戦後すぐの日本人の意識調査に始まり、古代天皇制まで調べ上げた上で結論を出しています。「象徴天皇制」は歴史の源流にあったのであると・・・日本人が長い歴史の中で編み出した知恵であることを述べています。
戦後すぐの社会党の憲法草案でさえ、象徴天皇制を掲げていたことには驚かざるを得ません。
(02.03.11新規)
『伊勢神宮‐東アジアのアマテラス』千田稔著 中公新書
伊勢神宮とアマテラスについて考察した本。伊勢神宮がいつ出来たかは今もって謎である、そしてアマテラスの発祥も謎、アマテラスが何故、伊勢神宮内宮にまつられているかも謎なのである。筆者は多くの文献等を解説して謎に迫っている(最終的な解答には至ってはいないが諸説は読み応えがある)。後半では近代(明治以降)の伊勢神宮の役割、そして日本の植民地に広がったアマテラス信仰について解説、特に植民地での日本の神社の進出と戦後の消滅についての資料は貴重であります。
(05.04.19新規)
『鉄砲と日本人‐「鉄砲神話」が隠してきたこと』鈴木眞哉著 ちくま学芸文庫
我が国の鉄砲伝来は種子島だったか?武田の騎馬隊を破ったのは本当に鉄砲だったのか?信長の三重列鉄砲隊は本当に機能していたのか?戦国合戦譚に鉄砲は何故、出てこないのか?本当に江戸時代に日本人は鉄砲を放棄したのか?何時から日本人は白兵戦主義になってしまったのか?・・・従来ある日本史における鉄砲の意味を多数の文献を読み解くことで明解に常識を切り裂いてくれる痛快な歴史書であります。
特に戦国・安土・桃山時代に興味のある方は必読の書です。
(03.06.08新規)
『靖国』坪内祐三著 新潮文庫
何かと問題になっている東京の靖国神社の歴史を冷静にかつ痛快に記した本であります。
元々、明治時代の初めに「招魂社」として誕生した靖国神社は時代とともに変化したのであります。元々の靖国神社は、ある意味アミューズメント・パークだったというのが筆者の考え方であります。日露戦争の見せ物に始まって大相撲横綱による土俵入り、力道山の奉納プロレスなどなど・・・色々なイベントが行われた場所でもあるのです。また東京の山の手と下町の境界としての靖国の存在意義も発見してあります。「軍国主義の象徴」や「英霊達の聖地」だけでない靖国神社を教えてくれる一冊であります。
(04.07.26新規)
犯罪の民俗学(2)遠野の深層からオウムの心象へ『特権漂う地 甲州・九一色郷』鈴木光志著 批評社
オウムのサティアンで有名になった山梨県上九一色村、最近はやりの市町村合併で消えるかもしれないとの情報があります。この富士山の麓ののどかな村はオームで有名になる前から実は歴史上有名な地点だったのです。
ここには甲州と駿州を結ぶ街道が通っていました。そこで武田氏は、このあたりに特権を与えたのであります。その後も徳川家康からも特権が与えられ、明治以降には軍による特権が与えられたのであります。この不思議な村の歴史に書かれた文章は貴重であります。「村に歴史あり」を示してくれる名文です。
(04.05.10新規)
『縞模様の歴史‐悪魔の布』ミシェル・パストゥロー著/松村剛・松村恵理訳 白水社uブックス
今では普通に見られる洋服の縞模様、でも中世のヨーロッパでは違いました。縞模様は異端のシンボルだったのです・・・売春婦・死刑執行人・旅芸人・鷹狩り・異民族(ユダヤ人、黒人他)などなど。ところが時代が進むにつれて縞模様は異端の象徴から従属の象徴そして革命のシンボルへと変わっていくのでした・・・それはヨーロッパの歴史の一面を知るきっかけのひとつになるのです。とても面白い着眼点を持った本であります。
(05.01.06新規)
『とびきり愉快なイギリス史』ジョン・ファーマン著/尾崎寔訳 ちくま文庫
イギリス史を極めて簡単に解説した本(解説しているのはブリテン島に人が住み着いてから第二次世界大戦終了まで)。
作者は元々、歴史授業落ちこぼれイラストレーター・・・自らの経験を元に歴史上の重要エピソードをざっくばらんに、そして皮肉一杯、ユーモアたっぷりに解説。その上、ギャグ満載のイラスト付きという懇切丁寧な本です。
とにかく肩が凝らず、気楽に読める歴史書であります。
(04.01.24新規)
『とびきり哀しいスコットランド史』フランク・レンウィック著/小林章夫訳 ちくま文庫
「とびきり」シリーズの第2弾。今度はいまやイギリスの一部になってしまったスコットランドの歴史。
ピーカー族が住んでいた氷河期に始まって1701年にイングランドに吸収されるまでの歴史を面白おかしく解説しています。タータンチェック・ウィスキーの国はずっと指導者が私利私欲のために内輪もめをしている国でした、日本ではほとんど知られていないスコットランドの歴史の基本が判る1冊、でも地図がないので地名が出てきても何処にあるのか判らないのが残念であります。
(05.03.01新規)
『とびきり陽気なヨーロッパ史』テランス・ディックス著/尾崎寔監修/竹内理訳 ちくま文庫
「とびきり」シリーズの第3弾。今度はイングランドとスコットランド以外の西欧ヨーロッパの歴史。
ベルギー・デンマーク・フランス・ドイツ・ギリシャ・オランダ・アイルランド・イタリア・ルクセンブルグ・ポルトガル・スペインの歴史をジョーク混じりに解説、各国の解説の最後にはグルメ度・文学・芸術・風景・警官・国民性・最後にジョークで一言という成績表が付いております。しかしながら、これを読んでいるとヨーロッパはずっと戦争をしていたような気がいたします、それに比べると日本は平和なのかもしれません。
(05.04.05新規)
『とびきりお茶目な英文学入門』テランス・ディックス著/尾崎寔監修 ちくま文庫
「とびきり」シリーズの第4弾。今度は英文学の歴史です、紹介されている作家は全て1900年までに生まれた作家、合計30人です。日本でも有名なシェイクスピアやバイロン、ディケンズ、マーク・トウェイン、H・G・ウエルズ、ヘミングウェイから日本では余り有名でない作家(私が知らないだけか?)まで楽しいエピソードと一コマ漫画、有名な作品の有名な文章の抜粋で紹介しています(ちゃんと英文も書いてありますが、古典英語は全くわかりません)。英文学の楽しい入門書です。
(05.04.27新規)
『図説・動物兵士全書』マルタン・モネスティエ著 吉田春美・花輪照子訳 原書房
戦争に参加した動物は人間だけでしょうか?それは、違います。多くの動物が戦争に参加しています。まず人々が思いつくのは「馬」でしょう。
ただそれだけではありません多くの動物が戦場に参加しています。犬・鳩・ロバ・ラバ・牛・象・ラクダ・アザラシ・アシカ・イルカ・コウモリなどなど多数です。
本書においては多くの実例を用いて説明しています。人間は紀元前から現代まで、いかに多くの動物を用いていたか本書を読めば判ります。
ただし、世界史で重要な地位を持つ中国及びその周辺の東アジアの記事が欠落しているのが欠点です。
(02.03.11新規)
『阿片の中国史』譚ろ美著(「ろ」は王に路) 新潮新書
中国の歴史を狂わせた物質の一つに阿片があります、特に清朝から中華人民共和国前期にかけては多大な影響を与えました。本著では中国への阿片の流入・阿片の蔓延・阿片取り締まり・アヘン戦争・中国に阿片が蔓延したのに何故日本には阿片が蔓延しなかったか・中国秘密結社と阿片の関係・毛沢東はどうやって中国から阿片を追放したかについて書くことによって中国近代史を読み解いていく本であります。この本を読むとつくづく日本に阿片が蔓延しなくて良かったと思うのであります。
(05.11.23新規)
『乳房論‐乳房とめぐる欲望の社会史』マリリン・ヤーロム著/平石律子訳 ちくま学術文庫
女性の乳房には種々の意味が与えられてきた・・・乳幼児を養うもの、男性に愛撫されるもの、芸術の対象、隠されるもの、見せるもの・・・時代によって大きく変化したのです。古代から現代まで、時に信仰の対象となり、政治議論の対象となり、子育て論の中心に置かれ、経済活動のシンボルになり、宗教論議にもなった乳房を歴史・民俗学・社会学・経済学・心理学・芸術論・医学(特に乳癌について詳しく)・ファッションと多角的な切り方で西欧における乳房に対する人々の考え方をまとめ上げた1冊。注目すべき驚きに満ちた1冊です。
『PICTURE HISTORY OF WORLD WAR 2 AMERICAN AIRCRAFT PRODUCTION』Joshua Stoff著 Dover社
写真集であります。洋書であります。
日本は何故、第二次世界大戦で負けたのでしょう?いろいろ理由はあるのでしょうが、その一つに生産力の違いがあります。それを、まざまざと見せつける写真集であります。
とてつもない生産力です。並ぶ並ぶ飛行機の数々・・・小型機から大型機まで。特にB−24大型爆撃機が数十機、一気に組み立てられている姿を見れば当時の日本が絶対に勝てないことは一目瞭然と感じてしまうのです。
それにしても凄い・・・の一言が似合う本です。
(02.06.23新規)
『中立国の戦い‐スイス、スウェーデン、スペインの苦難の道標』飯山幸伸著 光人社 NF文庫
第二次世界大戦は世界中を巻き込んだ戦いであった、しかしかながら中立を保った国があった・・・スイス、スウェーデン、スペインなどである。それぞれの国は連合国と枢軸国の間で苦労を続けた、例え武力を使った戦いに参加しなくても外交上においては常に闘っている状態にあったのだ・・・本書はこの苦難と努力の歴史を簡潔に解説してくれるのである。日頃、歴史で触れられることのない中立国について知る良い1冊。
(05.10.24新規)