食品
人間は食べなければ生きていけません。
では、ただ食べるだけでいいのでしょうか?
そうでは、ないですね。
食品は文化です。
ですから、色々な人が語っています。
耳を傾けていきましょう。

『たこやき』熊谷真菜著 リブロボード(現在は講談社文庫)
 大阪の代表的食品「たこやき」・・・でも、その起源はと問われて即答できる人はほとんどいない。
 また「たこやき」と言ってもソース味の「たこやき」と汁につけて食べる神戸風「たこやき」(別名明石焼き・卵焼き)がある。
 さて、そのルーツは何なのだろう?。また「たこやき」文化とは?。世界に広がる小麦粉食文化については?などなど・・・「たこやき」について大いに語っています。
 この本を読んで我々に身近な「たこやき」について知りましょう。
 (01.04.30新規)
『ふりかけ‐日本の食と思想』熊谷真菜・日本ふりかけ懇談会 学陽書房
 『たこやき』の作者が放つ食べ物シリーズの第2弾は「ふりかけ」であります。
 日本全国ふりかけめぐりに始まって、歴史、アジアのふりかけ、代表選手「のりたま」のお話、中身の分析(塩・ごま・鰹・シソ・ちりめんじゃこ・海苔・うま味)などなど。栄養学やお茶漬けの味についても言及、インタビューもふんだんに入っていて大変、面白い本であります。
 しかしながら、この作者いつも良い点に目をつけてくれます。
 (04.02.18新規)

『ナマコの眼』鶴見良行著 ちくま学術文庫
 ナマコ・・・最初に食べた人はどういう気持ちであったのであろう?昔から私の謎でした。その答えを出してくれる本ではないのですがナマコ食には興味がありました。
 この本はナマコを通じて日本とアジアの文化を語る良著です。本文約560頁の文章は迫力満点です。
 大文明の下で抑圧された辺境地帯(海の民)の意味について題名の通りナマコを通じて語っています。そこには十分な資料の裏付けと作者自身の調査の結果であります。
 ルポとは、こういうモノだと示してくれる本です。
 (01.05.01新規)

『江戸のファーストフード‐町人の食卓、将軍の食卓』大久保洋子著 講談社選書メチエ
 今はファーストフード値引き合戦の時代、ハンバーガーに牛丼に、他の食品も次々値下げしてくるだろう。
 さて、そのファーストフードの元祖と言えば百万都市江戸にさかのぼれます。
 日本料理を代表するてんぷら・すし・そば・鰻の蒲焼きなどは元祖ファーストフードから発達していったのです。
 そして江戸前の味・将軍の食事・初鰹狂想曲・究極のグルメ八百善まで多彩な江戸の食卓を紹介してくれる一冊です。
 (01.06.10新規)

『ごちそう探検隊』赤瀬川原平著 ちくま文庫
 「路上観察学」や「老人力」で有名な赤瀬川原平の食のエッセー。
 独特な観察眼で種々な料理を斬っていきます。
 例えば漬け物・ビフテキ・フランス懐石・シュウマイ・ガムをくれる料理店・河豚・山菜人類学・回転寿司・クサヤ菌・盛りそば・機内食などなど・・・薄い本でありながら十分に面白いです。
 (01.07.14新規)

『明解ぱくぱく辞典』赤瀬川原平著 中公文庫
 『ごちそう探検隊』と同じく赤瀬川原平の食エッセー。
 こちらは、あいうえお順に食べ物を斬っています(時々本当は食べ物でないモノも登場するのはご愛敬)。
 作者のカラー・イラストも独特で良い空気を漂わしています(元々、美術家だから当たり前だけど)。
 食品の感覚は戦中派兼東京的であることは書いておかなければ、いけないでしょう(関西人からすると「?」って所もあります)。
 (01.12.05新規)

『悪食大全』ロミ著 高遠弘美訳 作品社
 世界中(特に欧米関係)の悪食を集めた大著(ハードカバー500ページ以上)。
 主に時代区分ごとで分割して紹介してあります。古くは古代ギリシャの饗宴や旧約聖書の饗宴から始まって中世・18世紀・19世紀・20世紀と進んでいきます。
 基本的に大食いかゲテモノ食いか贅沢かに分類されるのですが、どれをとっても強烈・・・最期の方になってくると何を見ても驚かなくなります。細かい内容は本を読んでください、書き出すと大変な量になってしまいますので。
 残念なのは、あの悪食王国である中国の食事が載っていないのが残念です(でも掲載すると、倍ぐらいの本になってしまうかも)。
 (01.07.14新規)

『カレーライスと日本人』森枝卓士著 講談社現代新書
 日本人が大好きなカレー、でも生まれたインドのモノとはまるで違う。日本のカレーのルーツはイギリスに在ることを読み解いていく。それだけではない、明治の文明開化以降にどのようにカレーは広まったか、しいては洋食史にせまっていく名著であります。
 また日本人の大好きなラーメンの話もほんの少し出てきます。
 とっても、読みやすい本ですのでお勧めです。
 (01.08.02新規)

『随園食単』袁牧著 青木正児訳註 岩波文庫
 中国は清の時代に書かれた著名な料理書です。
 予備知識・警戒事項に始まって海産物・豚肉・獣類(牛・羊・鹿)・鳥・魚・精進料理・あしらい物・点心・粥そして茶・酒に至るまで約300種類の料理について材料・作り方・味わい方が記してある本です。
 しかしながら、何故この本が岩波文庫に収録されているかは謎であります。
 (01.08.25新規)

『お茶のなんでも小辞典』大坪壇監修・O−CHA学構想会 講談社ブルーバックス
 日本人に最も身近な飲料である「お茶」の本です。
 それも何から何まで。
 お茶の種類、科学、健康学、栽培、製茶、飲み方、利用法、歴史、雑学・・・この一冊を読めば「お茶」についてかなり「知ったかぶり」出来る一冊です。
 『ブルーバックス』シリーズと言えば「難しい」と感じる方も多いと思われますが、この本は別です(確かに化学構造式なんかも出てきますが無視して読んでも全然大丈夫です)。
 興味のある方は一読を・・・もしかすると内容が「薄い」と感じる方もおられるかと思いますが、その方には専門書を。
 (03.05.31新規)

『チョコレートの歴史』ソフィー・D・コウ/マイケル・D・コウ著 樋口幸子訳 河出書房新社
 その昔「神々の食物」と言われたチョコレート。その歴史はオルメカ人にまで遡るという。カカオはその後中米各所・歴代の文明に引き継がれていく。そしてヨーロッパ人の中米征服によって海を渡っていくのだ。
 海を渡ったチョコレートは好まれたり嫌われたりして貴族から平民へと広がっていく。多くの人々の口に入るようになるには、それだけの歴史が必要なのだ。チョコレートの苦さにも似た残酷な歴史も背景にはひかえている。
 あのマルキ・ド・サドも愛したというチョコレートの歴史を知るには絶好の好著であります。
 (03.08.20新規)

『日本人のひるめし』酒井伸雄著 中公新書
 むかしむかし、日本人は一日二食でした。むかしは昼飯を食べてなかったのです。それを食べ出したのは江戸時代以降。
 昼飯の歴史に始まり、代表的昼飯である弁当・給食・外食(すし・天ぷら)・各種麺類(そば・うどん・そうめん・ラーメン)・カレーライスの普及の歴史を詳しく解説しています。
 いつも、お世話になっている昼飯についてのうんちくを高める本です。
 (03.10.22新規)

『銀座木村屋あんパン物語』大山直人著 平凡社新書
 元祖あんパンをめぐる奇々怪々不思議不思議の物語を紹介した一冊。
 明治のはじめに発明されたあんパンは、日本の隅々に普及いたしました。その普及に関係した人々は意外な人たちばかりです。明治天皇・清水次郎長・十五代将軍徳川慶喜・チンドン屋さん・山岡鉄舟・天田五郎などなど・・・。
 この不思議な歴史を知らないのは損です。
 (03.11.24新規)

『こんにゃくの中の日本史』武内孝夫 講談社現代新書
 現代では、いつでも食べられるコンニャクが江戸中期までは季節食品であったのは意外と知られていない。江戸中期、中島藤右衛門が蒟蒻芋を粉末にして長期保存の出来るようになったのがコンニャクを日本中に広めたきっかけである(蒟蒻芋は腐りやすく保存しにくい)。その後、コンニャクは水戸藩の主要産業となり「桜田門外の変」の武士達の資金源となり戦争中には和紙と共に風船爆弾の原料となり、ペニシリン国産化のための培地となり、昭和天皇にも愛された。またコンニャクの粉は戦後一時期まで投機対象となり大金持ちの農家を生んだことも、この本にも描かれている。いつも食べているコンニャクが日本史に影響を与えたのかと感心することしきりになる本です(読みやすいです)。
 (06.06.01新規)

『くさいはうまい』小泉武夫 文春文庫
 発酵食品研究の第一人者である作者が世界中の「くさい」食品を食べ歩きます。おなじみの納豆・くさや・ニンニクに始まってドリアン・キビヤック・塩魚汁、世界で一番臭いと言われる「シュール・ストレンミング」まで食べに食べております(ゲテモノをかなり含みます・・・よく、こんなものを「美味い」と言って食べるなぁ〜と感心してしまいます)。もっとも強烈なのはイヌイットのキビヤックでしょう・・・これはアザラシの中身をくりぬいて中に海鳥をぎっしり詰めて土の中で2〜3三年発酵させて取り出し、海鳥の肛門から内臓をすするというものであります・・・しかし誰がこんなの考えたんだ?と言う食品。個人的には「におい」の強烈な食品は苦手なのですが(特に納豆)読んでいて面白い1冊です(本はインクと髪の臭いしかしませんから安心です)
 (07.02.04新規)

月刊しにか2003年12月号特集『中華料理のおいしい世界』 大修館書店
 中華料理の魅力について語った特集。
 「中華料理の魅力」「中国の四大料理」「北京料理」「上海料理」「広東料理」「四川料理」「食糧難時代の中華料理‐庶民たちの台所」「中国の酒」について書かれています。
 特に「食糧難時代の中華料理」では1950年代に起こった「三年自然災害」の庶民の食生活について詳しく書かれており庶民の涙ぐましい努力の跡が見て取れます。
 (04.01.03新規)

『戦闘糧食の三ツ星をさがせ!』大久保義信著 光人社
 世界中の兵士達の携行食糧についてのグルメ本。筆者はボスニア・ヘルツェゴビナ、アルバニア、マケドニア、コソボ、東チモールを巡って世界中戦闘糧食を入手、実際に食べてみたレポート。
 アメリカ、フランス、ドイツ、ウクライナ、スウェーデン、フィンランド、クロアチア、イタリア、ベルギー、カナダ、自衛隊、台湾、HDR、BP−5,EFR、日本警視庁、マレーシア、オーストラリア、シンガポール、イギリス、スペイン、リトアニア、ポーランド、デンマーク、ノルウェー、ロシアの糧食を詳しく解説・・・それぞれお国柄がよく出ています。筆者の評価では米軍MER3代目が一番だという(次点は陸自戦闘糧食2型簡易加熱剤付き)。
 実に珍しいグルメ本であります、文章も堅苦しさが無くてとても楽しい一冊です。
 (04.03.05新規)
『海軍食グルメ物語‐帝国海軍料理アラカルト』高橋直史著 光人社
 「腹が減っては戦は出来ず」であることは帝国海軍でも同じでした。日本海軍は誕生当時から料理にも力を入れていました、肉じゃがのルーツは帝国海軍でありました(シチューを和風にしたものであります)。他にも海軍士官のグルメ料理、パイロットの食事、ミッドウェー海戦の戦闘食、今や横須賀名物となった海軍カレー、ミネラルウォーター、艦内自給自足、海軍コーヒーなどなど多彩な話題であります。
 本著には主要なメニューにレシピ、イラストも多数・・・とっても読みやすい一冊です。

『死刑囚‐最後の晩餐』タイ・トレッドウェル/ミッシェル・バーノン著・宇佐和通訳 筑摩書房
 アメリカでは死刑執行直前の囚人は食べたいものがリクエストできる制度があります。確実に死刑執行が迫った死刑囚、その極限状態にある人間は何を食べたがるのであろうか?。大食漢、グルメ、殺人犯とは思えないイメージ違いなもの・・・それぞれに特長深いものがあります。でも、やっぱりアメリカであります・・・ハンバーガーが予想通り多い、他にもステーキやフライだったりするところが、いかにもアメリカ人の食生活を現しています。後、飲み物はコーラよりペプシが多いのは不思議であります。とにかく興味深い1冊です。
 (04.10.08新規)

『牡蠣礼讃』畠山重篤 文春新書
 三陸で牡蠣を養殖している作者が世界中の牡蠣を訪ねて回ります。まずは牡蠣の「旬」について(Rの付かない月は牡蠣を食べるな!が迷信だと言うことが書いてあったりします)、続いて牡蠣の養殖方法の歴史と発展について、世界中の牡蠣の食べ歩き、最後に「牡蠣の殻」についての蘊蓄・・・とにかく作者の「牡蠣!大好き!」が文章から伝わった来ます。それから、この人は運がいい、牡蠣の星の下に生まれたと言ってもおかしくないぐらい運がいい、世界中巡っていて目的のものから外れることがない、素晴らしいです。
 (07.09.14新規)

『はにーすぃーとティータイム』山野りんりん著 竹書房
 全4巻。
 とある街にある喫茶店「すぃーと館」の三姉妹が主人公の4コマ・コミックスです。長女茶苗はカワイイものと酒が好きの看板娘、次女の葉摘は調理担当、三女の珈流は無類のプリン好きの女子高生→女子大生。それにケーキ職人の父、仕事で飛び回っている母、隣のミント食品に勤める常連の柿沼誠(この人が実にいい味を出しているのだ)、向かいに出来た「虎鉄」というお店の住人も変わり者ばかり・・・この人たちがほのぼのコメディーをしている。最後の終わり方も良い
 もちろん喫茶店が舞台なので色々、おいしそうな食べ物が出てきます(とんでもないものも時々)。おまけにレシピが載ってたりしていい本です。
 (05.07.16改訂)

以下、究極の食品である人肉について記述しますので気分が悪くなる場合があります、ご注意ください。
『猟奇文学館(3)人肉嗜食』七北数人編 ちくま文庫
 人肉の「うまさ」に取り憑かれた人々の狂気と悦楽、愛を描く小説を11編掲載した一冊。以下、掲載作品を紹介します。
 『悪魔の舌』村山槐多、『狐憑』中島敦、『香肉』生島治郎、『秘密(タブ)』小松左京、『夜叉神堂の男』杉本苑子、『子をとろ子とろ』高橋克彦、『ことろの首』夢枕獏、『肉屋に化けた人鬼』牧逸馬、『血と血の愛情』筒井康隆、『薫煙肉のなかの鉄』山田正紀、『姫君を喰う話』宇能鴻一郎。
 私のお薦めは古風なムードが漂い運命に操られた自殺者の驚異の告白が読める『悪魔の舌』と「中国人は何でも食べる」的なものと男女関係を絡ました作品『香肉』であります。他の作品も良いものが多いのでお薦めいたします。
 (04.12.27新規)

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