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二日酔いの原因と対処

二日酔いとその原因

 二日酔いとは, 下記のような状態であり,

酒などのアルコール飲料(エタノール)を, 自身の代謝能力以上に摂取することにより引き起こされる, 不快な身体的状態. 大量の飲酒(エタノールの摂取)により脳が麻痺した状態で, 基本的に, 夜間に酒を飲み翌朝起床後顕著に現れる現象を指し, 宿酔(しゅくすい)とも云われる.
     [二日酔い - Wikipediaより引用]

典型的な症状として頭痛, だるさ, 吐き気, 下痢などを擁する. その原因としては, 最近までは, アルコールは体内でアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに分解されるが, そのアルコールの分解産物であるアセトアルデヒドの毒性によるとされていた. つまり, 二日酔いの原因はアルコール過多の状態のとき, 分解能力(代謝)が追いつかず, 分解途中の副産物であるアセトアルデヒドが体に長く残ってしまうために, 二日酔いの症状が起こるというものである. 実際, ネット上でもいろいろな情報を調べてみると, やはりアセトアルデヒドが原因であると書かれているものが大多数である.(参考文献[2],[4],[6],[7]) しかし, それだけでは説明できない場合もあり, 例えば二日酔いが血中アルデヒド値が低下した時点以降に生じる場合など, 最近では, アセトアルデヒドやその酸化物の毒性, アルコールの脱水作用, エネルギー不足, 体液の酸性化, 低血糖などが複合して引き起こされると考えられている.

頭痛が生じる原因とその対処

 頭痛の原因としては,

  1. アルコールの脱水作用によって引き起こされる
  2. アセトアルデヒドによる頭痛
  3. 低血糖によるもの

がある.

1. アルコールの脱水作用による頭痛

 アルコールを肝臓で代謝する際に大量の水分が消費されるため, 結果的にアルコールの脱水作用による水分の大量消費から, 髄液中の水分も失われて低圧状態になり, その結果, 脳周囲の神経や筋肉が刺激を受けてそれを頭痛と感じる. いわゆる, 低髄液圧症候群(頭蓋内圧低下症)になってしまうことで頭痛が引き起こされる. したがって, 水分補給をすれば解消される. しかし, 酒を代謝するためにミネラルも消費されているため, 酒を飲むと体内からミネラルも排出されてしまい水が吸収されにくい状態となる. そのため, スポーツドリンクなどの浸透圧が調整された飲料が良い.

2. アセトアルデヒドによる頭痛

脳内で毒性のあるアセトアルデヒドを中和するために, 酸素を多く取り入れようする. それによって, 血管が拡張されるので, 周囲の神経組織が刺激されて頭痛として感じられる. あるいは, 他の原因として以下が考えられる. アセトアルデヒドには褒賞系であるドーパミンニューロンに作用することで, 快楽・幸福感を得られるが, これによってカテコールアミンが分泌され, 血中カテコールアミンや遊離脂肪酸が増えることにより, 血小板が活性化されてセロトニンが放出される. このセロトニンには, 脳血管を収縮させる作用をもっており, 脳血管の収縮によって血流が悪くなったり, 片麻痺などの症状が起こり, その後, セロトニンが急激に代謝され, その結果異常な血管拡張が生じる. これが原因で偏頭痛が起こるとも考えられる. この場合の対処としては, 水分補給によりアセトアルデヒドの血中濃度を低くしたりするのが効果的である.

3. 低血糖によるもの

 ラーメンが美味しい理由・・飲酒の後にラーメンを食べたくなる理由である. アルコールの代謝には大量の糖が消費されるため, 低血糖になる. 血糖値が低いと多くの器官の機能が妨げられることになり, 特に脳は糖を主なエネルギー源とするため, 低血糖状態になった場合, 副腎を刺激してアドレナリンを, 膵臓を刺激してグルカゴンを, 下垂体を刺激して成長ホルモンをそれぞれ放出し, これらのホルモンの作用によって肝臓から血液に糖を放出させる. これらによって, 以下のような症状が誘発される. アドレナリンにおいては, 神経過敏, ふるえ, 動悸などである. また, 糖の供給が不足した状態が続くと, 疲労感, 脱力, 集中力の欠如, めまいや頭痛などが引き起こされる. 対処としては, 糖分の補給である.

 以上が主な原因であり, 他には, 酒によるビタミン不足など様々な要因が関係すると考えられている.

二日酔いの予防法

 二日酔いの原因としては, 上記に挙げたような要因が考えられる. したがって, 適当な水分補給と糖の補給が効果的である. また, 水分補給に関しては, 体内においてミネラルが不足しているために, 水分が吸収されにくくなっている点を考慮し, 適当なミネラルの補給も必要となる. そのため, 水分やミネラル分を効率良く補給する事を目的とした機能性飲料を飲むのが効果的だと考えられる. また, 体内のアルコールやアセトアルデヒドの分解を促進, あるいは補助するために以下のような物を試すのも効果的ではないだろうか.

 例えば, 二日酔い - 果物ナビにあるように,

柿に含まれる「カタラーゼ」という酵素には,二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を促進させる効果があります. また, 利尿作用によりアルコールの排出を促し, さらに果糖によって低血糖状態を回復してくれます.
     [二日酔い - 果物ナビ より引用]

柿などの「カタラーゼ」が含まれる物を食すことで, 代謝を補助し促すことができる. ただし, ここであることに言及しておきたい. カタラーゼはアセトアルデヒドに対して直接的には作用しないということだ. 代謝プロセスから見て, 結果的に上記の書き方は誤りではないかもしれないが, 少なくとも, カタラーゼがアセトアルデヒドに対して分解を促進させる効果はないので注意したい. しかしながら, 下記に示すように, 確かに柿にはアセトアルデヒドの分解を促進させる効果はあるようだ.

     飲酒とアセトアルデヒド - 脂質と血栓の医学

にある図のように, アルコールを摂取したとき, 人の体の中では2STEPで代謝される. 第一段階として, アルコールに対してアルコール脱水素酵素が働き, 代謝副産物であるアセトアルデヒドが生成される. カタラーゼを摂取することは, この第一段階の反応を促進させる. カタラーゼによって, 過酸化水素を気質にして, アルコールをアセトアルデヒドに分解される. したがって, アルコールの代謝は促進されるが, そもそもの有害物質であるアセトアルデヒドの分解促進は為されないので, 二日酔いになった時点から摂取したとしてもほとんど意味は為さないだろう. また, 柿にはタンニンが多く含まれる. タンニンには, アルコールの吸収を抑える薬理作用がある他, アセトアルデヒドと結合して代謝を促進させる効果もある. したがって, 柿にはカタラーゼによってアルコールの代謝を促進させるほか, タンニンによりアルコールの吸収を抑え, またアセトアルデヒドの代謝を促進させる効果もあるということだ. 酒の前後に柿を食べておけば万事解決, 二日酔い対策は万全と言っても過言ではないかもしれない.

 さらには, 桃も非常に良い. 桃には, ナイアシン(ビタミンB3)が豊富に含まれており, アセトアルデヒドの代謝には, このナイアシンが必要不可欠である. 二日酔いのもとであるアセトアルデヒド(他にも理由はあるが)をさっさと消し去るためにも, 代謝に必要なナイアシンを摂取することは大事だろう. また, このナイアシンと呼ばれる物質は, 他にはピーナッツにも多く含まれるらしい. なるほど, つまみでピーナッツを食べるというのは非常に合理的なようだ. そういや言えば, ピーナッツをつまみとして食べたときは・・悪酔いしないような気もする.

参考文献
[1] ニューロサイエンス入門 松村 道一 著 サイエンス社(1995/12)
[2] 二日酔い - 果物ナビ
[3] 二日酔いの原因と対策 - 日本酒豆知識
[4] 二日酔い撃退法
[5] 頭痛 - Wikipedia
[6] 二日酔いになる原因と対処法 - iHealth
[7] 二日酔い - Wikipedia
[8] 二日酔いはなぜ起こる - healthクリック
[9] 飲む前に読む・二日酔い防止術 - healthクリック
[10] 柿の効用 - しんじょう薬局
[11] ナイアシンの効能 - vitamin-mineral
[12] 飲酒とアセトアルデヒド