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原発被曝労働者と労災補償、健康管理手帳

* 厚労省が2009年度以降に13件の労災申請を検討、3件を認定
 厚労省の「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」の開催状況は下記のようになっています。
 喜友名さんの労災認定(自庁取り消し)以降、2009年度からは全ての案件が厚労省の検討会に付され、少なくとも肺がん、多発性骨髄腫、心筋梗塞、悪性リンパ腫(4件)、白血病(2件)、皮膚障害(2件)、大腸がん、白内障、の13件が検討済または検討中です。
 長尾さんの多発性骨髄腫(2003年度)、喜友名さんの悪性リンパ腫(2008年度)に続き、2009年度に多発性骨髄腫(1件、2009年12月)、2010年度に悪性リンパ腫(1件、2010年4月)と白血病(1件、2010年12月)が認定されています。
 (注)カッコ内の認定時期は厚労省からの「りん伺」した労働局への通知日です。
 原発関連の放射線業務の労災申請は2009年度末までに少なくとも26件あり、そのうち認定は13件となっています。(白血病8件、多発性骨髄腫2件、悪性リンパ腫2件、JCO臨界事故による急性障害3件) → 原発被曝労働者の労災申請・認定状況
 最近は申請件数が大変増加し、認定の頻度も増えています。要因としては、①被曝からの年数が経過してがんの発生が増加傾向にあると考えられること、②被曝が蓄積していること(個人線量の増加、労働者数の増加、集団線量の増加)、③長尾・喜友名労災支援運動により原発被曝労働者の関心が高ったと考えられること、が挙げられます。2010年度以降の申請案件も今後検討されていくと思われます。
 しかし、これは未だ原発被曝労働者の健康被害の氷山の一角に過ぎません。原発被曝労働者の集団線量は3000人・Svを超えています。その健康被害は、広島・長崎の被爆者の調査から推定すると、がん・白血病の死亡だけでも300人以上となります。多くの健康被害が放置されています。
(注)10人・Svあたり3.7人のがん死とするゴフマンの1990年の評価によれば1100人規模
 労災申請と認定は様々な壁により阻まれています。健康管理手帳の交付、認定対象疾病の拡大、認定基準の引き下げが課題です。
*厚労省、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫以外の認定基準の検討も
 健康管理手帳を交付し、国の責任で離職後の健康管理を行え
 原発被曝労働者の労災申請は本人死亡後の申請が目立ちます。ドイツの統計では、放射線業務の労災認定は死亡例又は致死性疾病の比率が高く、一般職種の労災認定の場合の約4倍にも達しています。
 国の責任で離職後の健康管理を行わせること、そのための健康管理手帳を交付させることが差し迫った課題です。
 がんは全てを認定対象にせよ、その他の疾病も認定対象にせよ
 白血病以外の疾病の申請が増えてきていることから、白血病以外の疾病についても認定基準の検討に踏み出すと報道されています。原爆症認定基準に準じて、悪性腫瘍については全てを対象にし、その他の疾病も対象に明記させることが必要です。
*厚労省、悪性リンパ腫は25mSv以上、多発性骨髄腫は50mSv以上で認定
 最近の検討会では悪性リンパ腫は25mSv以上、多発性骨髄腫は50mSv以上の放射線被曝を認定要件としています。また、肺がんは、100mSv以下でも放射線被曝と高い関係があるとする調査の存在を認めながら、100mSv以上を要件としています。
 これらの線引きの問題点を明らかにし早急に厚労省に認定基準の引き下げを求めていきたいと考えています。

検討会 案 件 の 労 働 局
開催日 北海道 宮城 福島 神奈川 静岡 福井 兵庫 大阪 愛媛 島根 福岡 宮崎 長崎
  2003.10.23     Oa                    
  2003.11.20     a                    
  2003.12.11     a                    
  2006.5.22     b                    
  2006.12.14     c                    
  2007.11.22               d          
  2008.4.24               d          
  2008.6.12               d          
  2008.8.1               d          
  2008.10.3               d          
1 2009.9.9
この時期に、検討案件の具体的なことは労働局を含めて一切非公開にされた。
交渉の結果、案件の労働局が公開となり、結果は件数のみ年度ごとに公開となった。
2 2009.12.25                    
3 2010.3.8                  
4 2010.4.28                  
5 2010.6.1                      
6 2010.7.7                      
7 2010.9.13                      
8 2010. 12.24                      
9 2011..4.27                      
10 2011.7.7                    
10 2011.9.20                      

a:多発性骨髄腫(認定、長尾さん)b:白血病(不認定)、c:白血病(不認定)、d:悪性リンパ腫(認定、喜友名さん)
2009年度以降は各回の審議案件については「りん伺労働局」以外は一切の情報が公表されなくなりました。2009年度以降の検討会の審議案件はこれまで公表されている情報(厚労省の説明や厚労省から各労働局への基発文書など)を総合して推定しました。

*2008年度に7件の労災申請・・・6道・県で原発被曝労働者
2008年度に7件の労災申請(原発被曝に限る)があったことを、2010年2月8日の政府交渉で、厚労省が公表しました。
北海道、兵庫、島根、長崎、宮崎で各1件、福井で2件です。
           質問書          政府回答
このように、2007~2008年の喜友名さんの労災認定の取り組みに対する全国的な支援の高まりを契機として、それ以前は2~3年に1件程度であった被曝労働者の労災申請が単年度に7件にまで大幅に増加しました。


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