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X-BOX360/5pb・ニトロプラス


その日、秋葉原から人が忽然と、消えた。

 マッドサイエンティスト(単なる理系大学生)である鳳凰院凶真(本名:岡部倫太郎)は秋葉原に設立した「未来ガジェット研究所」(ただの仲良しサークル)で様々なフューチャーガジェット(よく解らないがらくた)を発明する日々を過ごしていたのだが、「その日」はあまりに唐突に、そして衝撃的にやってきた。行き慣れた秋葉原ラジオ会館で目にする、大量の血だまり。その中で斃れている少女。だが、その、「ラジオ会館で殺人事件を目撃した」という非日常を震えながら友人にメールで知らせた瞬間……………秋葉原から、あれだけ大量にいた人々が、一瞬で消滅した。

 いや、正しくは消えて無くなった訳じゃない。ラジオ会館で起こった出来事が「墜落してきた人工衛星が直撃した」という更なる非日常にすり替わり、警報の為秋葉原周辺から「避難的な意味で」人が消えてしまっていたのだ。そして倫太郎の前に、殺人事件で死んだはずの少女が、生きて目の前に現れる………。



 ……「この時」の彼は、まだ知らなかった。彼が設立した「未来ガジェット研究所」で作り上げた実にくだらない発明品の一つが、実はタイムマシンとしての機能を兼ね備えていた事を。それを使えば「世界線」を変えられる事を。そしてその結果、彼は何を得て、何を失い、何を”代償”とせねばならないのかを………。


映一郎(以後「え」)/お久しぶりです!!毎年やってる「年度放談」からの派生じゃない形としては2007年の『雨格子の館』以来実に2年ぶりの更新となる「ゲーム放談」です!ハイ、スミマセン(汗)!!語ってもいいかなーというタイトルはあれからもぼちぼちあったりしたんですが、今回は『はやく放談で語らないと!!!』という衝動に強く突き動かされまして、素敵なゲストさんをお招きして早速対談の場を設けた次第!!では自己紹介から宜しくお願い致します。

土屋(以後「つ」)/トゥットゥルー♪ はじめまして、「ゲーム放談」で「ガンパレードマーチ」のコラムを読まなかったら多分作家になっていなかったんじゃないかと思う、ライトノベル作家の土屋つかさです。

え/角川スニーカー文庫『放課後の魔術師』シリーズでお馴染みの土屋さ……ってええ!?起源そこ!?(笑)

つ/あれを読まなければガンパレに嵌る事もなく、今もゲームに絶望したままで、ゲーム業界に入る事も無く、その結果として作家を志す事も無かったと思います。今回はお招き頂きありがとうございました。ゲーム放談に参加するのが人生の目的の一つだったような物です(笑)。

え/ひぃ、きょ、恐縮デス……!!ちなみに放談関連で言えばあれですね、PS2版『エヴァンゲリオン2』で意見交換して以来ですかね。

つ/そうですね。あの時は若気のいたりでぶつかってしまいお恥ずかしい限りでした。今はもうちょっと客観的にあのゲームを評価出来るんですが(笑)。

え/いえいえ。引き締まりました。いやもう本当、サターン時代にも『街』が面白すぎて紹介しようとしたものの、”シナリオが面白いAVG”というジャンルを文章でどう紹介していいのか解らず挫折した事もありましたので、今回はその「文章」のプロの人にご助力頂けるのは本当心強いです。

つ/うええ、ハードルが一気に上がった(笑)


え/あ、お気楽にお気楽にー。

つ/しかし、『ガンパレード・マーチ』も「これが世界の選択である」だった訳で、同じく「世界の選択である!」の『シュタインズ・ゲート』を磨伸さんから「語りませんか?」と来た時は、「これはまさに”運命石の扉”の選択である!!」と感じたものですよ!!ネタバレ込みで語れる機会が無いもので今回は頑張ります!

え/宜しくお願い致しますー。で、とりあえずこのページをお読みの方に事前に申し上げておきますと、今回の放談は「ネタバレ無しの対談」のあといくらか改行した上で「ネタバレ上等!容赦無し対談」を行いたいと思いますので、未プレイ且つ「これからプレイしたい!」と思う方は改行部分まででストップして下さいね! ネタバレ部分はクリア後に是非。

つ/もっと根本的に全ての情報をシャットダウンしてプレイしたい場合は、この行で読む事を止めて、今すぐゲーム屋に走るといいですよ(笑)。

え/さて、じゃあまずはその「ネタバレ無し対談」から始めますか。ぶっちゃけこのゲームって第一印象がすげえ悪いですよね(笑)!

つ/いきなりそうきましたか(笑)。

え/なんというか知識無しでパッと見た感じ、まずデメリット部分ばっか目につくという!!
『主人公が”超”がついても尚足りないぐらい重度の厨二病』!
『登場人物が大半オタクなので、会話文の至るところにネットスラング出まくり』!
『科学蘊蓄おおすぎ』!


つ/ある意味「2009年に生きるオタク」をピンポイントに攻めてるんですよ。
『オタの街としての秋葉原が舞台』!
『一切オブラートに包まない生々しいオタク文化描写』!
『更にオブラートに包まないにも程がある、一切の容赦がない残虐描写』!!


え/つか、『そもそもX−BOX360専用ソフト』!! これが何気に一番でかい(笑)。もうこんだけ要素が揃ってると、そりゃ人によっては毛嫌いします。拒絶反応を起こさざるを得ません。でも、逆を言えば、もしも貴方が「厨二病描写」「ネットスラング」「科学」「オタ文化」等に嫌悪を抱かない、好きと言わないまでも気にする事はないというならば、心から『おめでとう』と祝福の言葉を差し上げたい。何故ならこの『記憶を失ってもう一回まっさらな状態で最初からプレイしたい!』と多くの人に言わせた秀逸な物語を、まさにその「まっさらな状態」で楽しめるという幸福を味わう事ができるのですから!嫌われ要素の1つ1つが、実は物凄く巧妙な伏線である事に気付けるのですから!!

つ/初めてゲームを開始するときに「シュタインズゲートの選択」って実績が解除されるんですよね。そう、このゲームを遊ぶ事自体が”運命石の扉の選択”だったのです!主人公の中二病っぷりについても、正直最初は引いてしまうくらいの勢いなんですが、読み進めるウチにその意味合いが2転3転していきますから!

え/そうそう、ゲームやる前に噂で『主人公の中二病っぷりも後半になるとカッコ良く感じてくるんですよ!』とか聞いてても 『ははは、こやつめははは』と信じてなかったんですが、実際やってみるとすげえ納得するという。

つ/あと、『あんまりダイレクトな「萌え絵柄」じゃない』のも一見デメリットですよね。実際はプレイしてみるとhukeさんの絵柄はびっくりするくらいゲームに合ってる訳ですが。背景美術も絵柄の雰囲気に合致していて、一種独特な世界観の演出に成功しています。

え/「世界観」かー。オタの心を離さない要素の一つとしてこの世界観というか、”舞台”もありますよね。以前別のトコで軽く書いたんですが、この作品を映画で例えるならば基本は『時をかける少女(細田版)』であり、『バタフライ・エフェクト』なんですが、更にその根底には『ビューティフル・ドリーマー』がたゆたってるなぁ、と。「秋葉原」という「永遠に終わらない文化祭」。そのある種「オタ的理想郷」で壮絶に面白いシナリオが展開されるから、なんか相乗効果凄くなってないか?という。

つ/なるなる。秋葉原に寝床があって、そこにいつも仲間達がいて、毎回バカ騒ぎして……、そのバカ騒ぎの果てに、ある日突然、その精算を強いられる時が来る。

え/ね、根本は『ビューティフル・ドリーマー』でしょ?

つ/「オタ的理想郷」論は確かに。そしてシュタインズ・ゲートは本当に素晴らしい。正直、テキスト読んでこれだけリアルに泣いた経験は過去多分無い。でもちょっと言っておきたいのは、たまに目にする「『428』を軽く超えている」的な言説には異を唱えたいんですよ。ベクトルが全然違う!と。

え/あ、はいはい。実際今回土屋さんと対談をさせて頂きたいと思ったのは、『428との対比』みたいな文章を目にしたのがきっかけだったんですよ。アドベンチャーゲームとしてマクロな視点から見た場合のシュタゲ評価論を是非ここでもお願いできますか?

つ/そうですね、乱暴に分類してしまいますが『ノベルゲームのシステムの進化の最新形を体験したい』なら「428」をオススメ。『ADVゲームのシステムの進化の最新形を体験したい』なら「逆転検事」をオススメ。そして『ノベルゲームの「シナリオ」の進化の最新形を体験したい』ならば「シュタインズゲート」をオススメという感じです。もちろんシナリオ以外は評価しないって事じゃないですよ?僕、実はシュタゲを遊ぶためにXBOX360を買ったんですね。 ゲーム雑誌でシュタゲの特集を見た時に「フォーントリガーシステム」っていうのが、ちょっと画期的すぎると思って、これからノベルゲーム作る機会もあるかもしれないし、これは遊んでおかなければならないと思ったんですよ。

え/なるほど、先行自己投資。

つ/で、実際買ってみると、確かにフォーントリガーシステムはシナリオと融合した素晴らしいギミックではあるんですけど、ゲームゲームしたものかというと、ちょっと違った。どちらかというとプレイヤーをシナリオに没入させる為のギミックで、まんまとしてやられてシナリオの完成度に泣かされる。今日も対談の予習にちょっとだけ再プレイしたんですけど、もう途中からボロ泣きしてて予習どころじゃなかった(笑)。どんだけ俺の琴線に触れまくるんだこのゲームは!人に言えるほどノベルゲーをやっている訳ではないですけど「ゲームのシナリオって、今はここまでハードル上がってるのか」と愕然としましたよ!

え/実際フォーントリガーシステムはこれまでのAVGからすると考えられないくらい「漠然とした」選択肢システムなんですよ。ノベルパートに突然入り込んでくる携帯の着信。なんでもないメールの、どのキーワードに重きをおいて返事を打つのか打たないのか。そもそもそのメールを無視してもいいし、電話をとらなくてもいい。且つ、返すにしても主人公が厨二病なので返し方がおかしい(笑)。しかも登場人物の中には主人公の厨二病加減にカウンターアタックかけてくる電波メール送ってくる奴までいる為、もう自分が何を選んでそれがシナリオにどう影響するのかサッパリわからない。でも考えてみればこれって「作品的には正しい」ですよね。いわゆる”バタフライ・エフェクト”。なんでもない事が、時と場所を離れたトコでとてつもない出来事のトリガーになりかねないという。

つ/ですね。漠然としている。しかも、非常にさりげない。電話を取る、メールを打つという行動が、結果として大きな変化を生む。しかも、これ自体が物語と緊密に繋がってる。で、じきに、その「決定的に物語を変えうる」タイミングをプレイヤーが気づくようになる。その上で、着信ボタンを押しますか? 押しませんか? という選択を迫ってくる。主人公の厨二病言動に攪乱されがちですが凄いですよコレ。

え/要するにこのシステムは「プレイヤーの行動」と「主人公の行動」を一致させるギミックだったり。

つ/その一致した行動によって、物語が選択される。画面に出てくる選択肢を選ぶのとは、没入感や感情移入レベルが全然違う。 「選んでる」、というか「選ばされてる」という感覚を一切おぼえさせない仕組みですね。もうちょっと言えば強制感の強い、断する様な選択肢じゃなくて、 「その発信ボタン押したら何が起こるか分かってるよね?この会話中に発信する事が何を意味するのかわかってるよね? それでも、押すの? それとも、押さないの?」と後ろからそっと背中を押されるような選択肢システムとでも言うべきか。

え/でもこれ製作した方は地獄見たらしいですね(笑)。「この時間軸だとあのメールが届いてない訳で、このメールは消滅してるけどもそのメールは存在してないとおかしいし…」とか矛盾点発生させない為に試行錯誤しまくって、『こんな複雑怪奇なシステムやるんじゃなかった!!』と絶叫したとか。

つ/大変だったろうなぁ(笑)。


















































え/じゃあここから先はネタバレ上等という事で相当ぶっちゃけトーク始めますが、えーと、まずですね、これ、CERN大丈夫なの?CERNに訴えられても仕方ないんじゃないの?(笑)

つ/まずそこからという理由が解らない(笑)!!というかCERNじゃないよ!SERNだよ!発音的に変わらないけど!(笑)

え/確かにあくまでSERNなんだけども、プレイするとメキメキと育っていくCERNへの嫌悪感!「CERNなんてこの世に存在してちゃいけないんだ!!」という程の憎しみを覚えずにはいられない!!ついでにドクター中松への憎しみも忘れない!!いや嘘です。ドクター中松はまぁいいです。

つ/中鉢だから!中松言うな(笑)!しかしこの「ドクター中鉢」て、出オチでスタートかよ!と思ったら、最後の最後に全部回収されましたね……!

え/まさか彼が真のラスボスだなんて、一体冒頭部分だけ読んで誰が想像し得ただろうか!!

つ/思わないよなあ(笑)。「おとうさん」って、コイツかよ!!!!わざわざ青森まで会いにいかなくて良かったよ!!!!という。

え/ほんと、CERNとドクター中松には怒られても仕方ないw

つ/でも実際にコッソリとカー・ブラックホール作ってるかもしれないけどね!!最近活動再開しましたし!

え/ 現実世界のCERNが活動再開した際、twitterでみんな『そうだ…遂に”機関”が動き出したんだ!!』とかつぶやいてて笑った。

つ/(爆笑)

え/うちがフォローしてる人々が凄い勢いでみんなオカリンになってて爆笑しました。

つ/「俺だ! ついに奴らが動き出した!エル・プサイ・コングルゥ!」 この最後のセリフ、「ラ・ヨダソウ・スティアーナかよ!」って最初笑ってたんだけど、クライマックスで、このセリフに泣かされる事になるとは露にも思わず。それが運命石の扉の選(略

え/「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」の元ネタの小話も、よっぽどネット巡回とかしてないと目にしてないというか覚えてないというか。本当、ネットネタのチョイスとか凄い上手いと思いますよコレ。極端に有名過ぎず、かと言って無名過ぎる事もなく。自分がこのゲームをプレイし始めてまず真っ先に『すげえ!?』と思ったのはまさに冒頭部分でいきなり展開される「ジョン・タイター」ネタですもの!『うわあジョン・タイターかよ!!IBM5100かよ!!!』とこれをメインの題材に持ってこようというそのセンスにいきなり脱帽した次第。

つ/僕はジョン・タイター事件については2000年当時ちょっとかじったくらいで、wikipediaを読み直して思い出しました。言われてみればこんなに面白くて興味深い話だったのに、逆に今まであまり物語の題材として使われてなかったのが不思議!ネットスラングやネット上での事件も、知ってる人なら『嗚呼!あれが元ネタなのか!!』とか『あのネタをこう料理するのか!!』とプレイしながらやたら納得する事しきりですし、知らない人は知らない人で、念のため実際にググってみたら本当にウィキペディアとかで載ってるという、重箱の隅をつつくような知的興奮が味わえます。

え/興奮と言えば秋葉原の各店舗の大半がそのまんまの実名で登場してる点もそうですよね!「ん…?あれ…?タイトーのゲーセン?商標とか大丈夫なの………?」「ソフマップ、お店のロゴまでそのままじゃん!?」とまず面食らって、よくよく見たら名前どころかビルの外観もそのまんまだし、「とらのあな」には美虎ちゃんがちゃんと描かれてるしで『え!?何この半端ないこだわり!?わざわざなんでキチンと商標とか忠実に再現してんの!?』とか思ってたら、物語の途中であの展開!!『う、うわああああああ!!”この演出の為”の実名登場かああああああ!!』と2回目の驚きがやってくる訳ですよ!!

つ/そうそうそうそう!実名だからこそ、それがひっくり返る時のカタルシスたるや!!「シュタインズゲート・パートナーズ」として多数のメーカーに協力してもらってるみたいで、背景描写はもちろん、ボイスでも「とらのあな」とか「メロンブックス」とか平気で耳に届く事で秋葉原という街そのものへの没入度も半端無いんですけど、そうであるが故にこのパラレルワールドのインパクトもでかい!

え/秋葉原に行った事があって、且つその成立の歴史を少しでも知ってるなら、誰もが一度は『もしかしたらそうだったのかも知れないのにね』と言ってた、実にストライクゾーンの狭いパラレルワールド(笑)。

つ/そしてオカリンの友人にして相棒でありスーパーハカーであるダル。彼が最高すぎます。

え/20年以上の未来に製作されたタイムマシンをあっさり直しちゃうわ、インターネットを作り世界を征服しかけてるSERNに何の痕跡も残さずハックできるわ、それでいて二次元も愛せて三次元も愛せて無機物も愛せる。且つ声が実はドモン・カッシュ。最高どころか無敵じゃね?つか関さんは大丈夫なのか?

つ/大丈夫って?

え/最近はスネ夫とかネットスターでの変なオタっぽいしゃべりとかやってて、それでコレですから。もうドモンみたいな声出せるのかと逆に心配になりましたよ!

つ/そういう心配か(笑)!今度の無限のフロンティアEX聞いてる限り大丈夫っぽいですから!!ともあれ、ボイスがね、ずるいよね、このゲーム。厨二病用語とか2ch用語って、文字で読んだ事はあるけど、耳で聞いたことはほとんど無いわけじゃないですか。それを、豪華声優が物凄いスキルで読み上げまくる。とてもじゃないけどスキップ出来ない。主人公の厨二セリフも、状況によって感情表現が違ったりして、しかもそれがプレイヤーにダイレクトに伝わる。宮野さん凄すぎる!

え/あまりにも某ルルーシュっぽいしゃべり方に、「あれ?中の人ルルーシュだっけ?」とか勘違いする程に。

つ/土屋も最初中の人を勘違いしていたのは秘密だ!

え/実際まゆしぃが主人公にコスプレするよう促した際提示した服が、どう見てもルルーシュです。ありがとうございました。

つ/あれ反則でしょう(笑)、ゲーム外についてもネタがいちいち細かいんですよ。OPの曲然り。

え/あー、OPの曲、名曲であると同時に歌詞の内容が「このゲームの主題歌」として実に正しいですよね。別に気にしないなら気にしないで普通にいい曲ですし、プレイ後によくよく吟味してみたらカオス理論や観測問題やら予定因果やら、本編中に出てくる科学ギミックを実は示唆しまくっていたという。

つ/ゲームが終わった後で聞き直すと、ガツンと来ますね!OPのムービーも、キャラ毎にそのキャラを象徴する演出になっていて驚いたり。隙が無い!ED曲も、魔の城に攻め込む兵士が地平線を超えて〜みたいな感じでぐっとくる。

え/適当なJ−POPタイアップじゃなくて真に「意味のある」OPでしたねぇ。この歌詞といい「タイムトラベル」について実に真摯に向き合った作品ですヨ…。実際、「タイムトラベル」について『どーゆー理論で』とか『必要とされるエネルギーが云々』みたいな話は他の物語でも普通に語られる事ですが、シュタゲの場合『数分前の元の場所に戻る…と一言でいっても、地球って「自転」してるじゃん?その上「公転」もしてるじゃん?更に太陽系そのものだって銀河系の中で凄まじい勢いで動いてる訳で、もっと言えばその銀河系もまた宇宙全体で見れば信じられないスピードで移動してる。 で、「数分前の元の場所に戻る」って簡単に言ってるけども、その”元の場所の座標”が解るのきみ?』という、そこから始まる(笑)。

つ/言われないと気付かない問題点ですよね〜。深い。

え/「タイムトラベルもの」というジャンルはいくらでもあるんですが、ここまで科学的に切り込んで、且つキチンと面白いモノはなかなか見た事ないなぁ。個人的にタイムトラベルもので一番嫌いなのは「タイムパラドックス原理主義」。何するにしても「パラドックスが!パラドックスが!!」とか言ってやることなすこと規制しまくって『じゃあお前時間旅行とかする意味ねぇじゃん!!』というぐらい窮屈なモノとか本末転倒さを感じずにはいられません。

つ/パラドックス原理主義!なるほど!

え/その点この作品はもうパラドックスなんて知るか!!とばかりに改変しまくって、後々後悔するという。「どうせなら、やるだけやって後悔しようぜ!」という(笑)。

つ/そう、後になって、バタフライ・エフェクトに困る。シュタゲでは、割とおおざっぱにタイムトラベルというか時間改変をしてしまうんですよね。これもシナリオが上手いなあと思うんですけど、最初、主人公が改変していく過程がプレイヤーの心理と微妙にずれてる。それこそプレイヤーは「いや、それやばいんじゃね?パラドックス以前に倫理的な問題なくね?」とか思ってるけど、登場人物はそれをやってしまう。で、流石にそれを後悔する事になり、収拾付けるために頑張る事になって、その過程で色々な物を失う。俺ボロ泣き(笑)。

え/しかもプレイヤー的には「後悔したあと」に支払う事になる様々な代償に心奪われて、最後の最後、それこそ物語の冒頭で実にショッキングに提示されてた「伏線」が一番きっつい代償として立ちはだかってた事に改めて気付かされた時は『うわああああああああああああああああああああああああ!!!!』とマジ鳥肌たちましたわ!『そうか、物語に決着つけようと思ったら、そもそもあの事件を回避できないじゃん!!』という!

つ/僕は寝る直前に気づいて叫びかけました(笑)。「え、ここをこうして、こうすると……、駄目じゃん!!?「時間改変モノ」は、改変された時間を戻す事が物語の柱になるわけですけど、じゃあ、全ての時間を元に戻したらハッピーエンドなの? という問題を更に突きつけてくる!

え/そんな隠そう隠そうとしてた訳じゃないのに、途中の展開の秀逸さでなんか忘れてて、最後になって気付かされるという、ここまで張り方の上手い伏線見たのは「HOT FUZZ」以来ですわー。また例えが映画になって申し訳ないですが。

つ/いや、ホント物凄い良くできた映画かドラマを見ている気分。こういうと、ゲームとして貶めているように聞こえるかもしれないけど、むしろ逆で「ゲームでこれを作ってくれてありがとう!」と。

え/結局クリアに至るまでの平均プレイ時間30〜40時間らしいですからね。映画では絶対に無理な時間数だし、かと言ってドラマでやるにも長い。それに「フォーントリガーシステム」によって吟味できる事柄は、映像メディアでも漫画でもちょっと難しい。「ゲームだからできる」というのは、まさに。

つ/「ゲーム」であるが故に、いろいろ試行錯誤して、通常ADVとは比べものにならないぐらい実体の掴みにくい選択肢を推敲して、で、やっぱり最終的に行き着く「結末」があれだったので「やっぱりこの終わり方にしかならないのか………」と軽く絶望しはじめたら、アレですから!!

え/真の最終章の入り方も演出が上手かったなぁ。しかも真章に入って「勝った!第三部完!!」とか思ってたら、またも絶望させられたり(笑)!!「ええぇーー!?そんな最悪な終わり方なの!?」 と一瞬滅入ったら、でもそこからがまた息をのむ展開で、置き去りにしてた「残りの伏線」まできっちり回収していくという。ドクターについてもそうだし、クリスの家庭問題についてもまた然り、『そういえばサイリウム・セイバー今まで活用してなかったな!!』とか、『ウルドやベルダンディーがいて、スクルドなかったじゃん!!』とか。ここにきてようやく未来のオカリンからのビデオメールという最大伏線も回収されますし!『sg-epkって、嗚呼ぁあ!!』

つ/あ、そっか! あれ最初に届いてるんだもんな!全てはあの時から始まっていた!これが、運命石の(くどい

え/………と、まぁ真章まで語ったトコで、そろそろ話題の方向性を締めに向けて行かなければならないんですが、1つ。1つだけ、納得いかない点がある。シュタゲは基本絶賛ですけども、不満点が微塵も無いかと言えばそうじゃない。好きか嫌いかで言えば大好きなんですが、何もかもを盲目的に肯定するような信者になった覚えはないので、この1点でのみ反旗を翻したい。

つ/ゴクリ……………な、なんでしょう…………?

え/眼鏡ッ娘の扱い、悪過ぎんだよ!!!!(←怒りながら嗚咽

つ/そこ!?本気で口に含んだオレンジジュース噴くとこだったよっ!!(笑)

え/メインヒロイン陣で唯一個別エンド無いわ、つか「あの役回り」じゃエンド与えられる訳がないというか、 あんな憎まれキャラになるなんて!!それならそもそも眼鏡ッ娘キャラにそんな役回り与えないでよ!!何でわざわざ汚れ仕事を眼鏡ッ娘に押しつける必要があったんだよ!!??  と!! 強く断言したい!!

つ/い、いやまぁ、土屋も眼鏡属性あるし、萌郁ルートあるって信じてたさ……!

え/もう最近の「ゲーム」ジャンルにおける眼鏡ッ娘逆風ひどすぎ………(嗚咽)。他ジャンルならそんな事もないのに…………

つ/他ジャンルなら大丈夫なんですか?

え/だって特撮の「ウルトラマンメビウス」とか、今だに出すグッズがアマガイコノミ隊員(眼鏡ッ娘)のグッズばっかなんじゃぜ!?もう一人裸眼ヒロインいたよーな気もするけど、最初からいなかったかの如く!漫画ならば眼鏡ッ娘がメインヒロインの作品は山の様に出てますし、映画においても素敵眼鏡ッ娘とか普通に登場したりするんですが、なんか「ゲーム」というジャンルにおいてのみ最近、あえて奇抜な髪型にされたり、愛されにくい性格設定にわざわざしたり、野暮ったいモノにしあげたりして、結果「不人気」とか烙印押される始末。なんでだよ!!おのれ!!この怒りで眠っていた超能力すら目覚めそうだ!!

つ/落ち着け! まだその力を解放すべき”時”ではないッ…!!

え/クッ………静まれ!!俺の超能力、「真の解放者の黄昏(コンタクトレンズ・クラッシャー)」!! あいてはしぬ。

つ/つええよ(笑)!そうそう、あのさらりと「あいてはしぬ」って書いてあるシナリオもズルイよね(笑)。

え/何の能力説明しても末尾には「あいてはしぬ」。

つ/まあ、萌郁はルートが無い事もあって、ちょっと掘り下げも弱いかもですね。救済されたかも微妙な所だし。うーん、眼鏡の記号化がまだちょっと古いんですかねえ…萌郁のメガネは「内向性」の記号化なのかな?

え/あと「バリア」の意味合いですね。主に「眼鏡ッ漢」属性を説明する際に当てはまる事柄なんですが、心の中を読まれたくない、本当の自分を知られたくないという「バリア」としての眼鏡。実際「殺人モード」に入る時は、バリアもくそもないので眼鏡を外す訳です。むしろ隠していたものを全開にしている訳ですから、「バリア」としての眼鏡は必要がなくなる。

つ/ああ!なるほど!!でも、磨伸さん的には「バリアを外す」というのは本来あってはならない演出なんじゃないですか?(笑)

え/眼鏡ッ娘から眼鏡をはずす!! あいてはしぬ。

つ/殺された!(笑)

え/あと「こんな汚い仕事をする時に、人に恨まれる事をしでかす時に、”眼鏡”はかけてられない!外さなきゃ!!」というこころにくい礼儀作法なのかも知れない。某ゾンビゲームだって、眼鏡ッ娘がゾンビ化する時はその直前に眼鏡を外してからゾンビになってましたよ!!武士は戦場に赴く際、死してなお桜色になるよう口に紅をひいた様に、眼鏡ッ娘もまた失礼の無いように眼鏡を外してから外道化するのです。そろそろ自分でも何の話してるのかわからなくなって参りました。

つ/正直、メガネの持つ記号性について強い示唆を受けました(笑)。後でメモっておかないと…。その意味では、最後はまたメガネで現れて、「隠している自分が本当の自分」としてるわけで、救済があると言えばあるのかな?

え/オカリンも最終的には「かれら」を「赦して」ましたよね。漢字、確か「許す」じゃなくて「赦す」になってたような。発音と大まかな意味は一緒でも、深いトコでの意味が違いますもんね。

つ/ですね。どちらかというと「許容する」とかが近いかな。

え/「許す」はごんべんが付いてる事からも、”言葉”としてゆるす。怒りに束縛された心を「ゆるめる」という意味合いでのゆるす、でしたっけ?その辺りはプロの文章書きの土屋さんの方が詳しい気もしますが。

つ/確か許すは「緩い」と同語源だったんじゃないかな。「赦す」は「とがめない、責めない」のであって相手のやった事を認めるわけじゃない、って感じでしょうか。そうそう、「文章書き」としての感想を述べさせて頂くとすれば要点は3つくらいあるかな。土屋は作家である前はデジタルゲームのプランナーもやってたのでどうしてもゲームとしてのシナリオの完成度の高さを見る訳ですが、まず一つ目。最近のノベルゲーの傾向なのかはよく知らないけど、シュタゲってゲームオーバーが無いですよね。進めればどんな帰結であれ必ず「クリア」は出来る。ただし、物語上のゲームオーバーはある。それは「まゆりの死」です。つまり、プレイヤーの代わりにオカリンが勝手にコンティニューしてるんですね。「ハッピーエンドになるまではこのゲームを終わらせない」という構造になってるんです。更に言うと、仮にオカリンが死ねばゲームは続行不可能になるので、そこでゲームオーバーになる筈なんですが、アトラクタフィールド理論によって、オカリンは死なない事が保証されてる。この辺が凄い上手い。

え/おー、確かに!

つ/2つ目。タイムリープが可能で、かつDメールを使った事が原因なら、そもそもDメールを送る時点までタイムリープしてメール送信を無かったことにすればいいじゃん、という筈なんですがこれが48時間制限によって不可能なっている。その代わり、改変を元に戻す度にタイムリミットが1日ずつ伸びて、オカリンの行動力が上がる仕掛けになってる。しかもその伸びて行った時間が、コミマ(コミケ)前日、1日目、2日目、3日目と、我々オタクにとって非常に意味のある日と重なってる。こういうのも心憎い。

え/あ、そうか!!そしてその「楽しさ」の象徴であるイベント当日の夜に起こる惨劇。そりゃプレイヤーとしては全力で回避したい衝動に駆られる!!

つ/ですです。しかも、まゆしぃもダルもコミマ超楽しみにしてるのに、まゆり以降のルートではオカリンの為に行かない事を選択するんですよね。ごめんよと。更に3つ目。これは分析している最中にどうしてもボロ泣きしちゃって、まだ冷静に見れてないんだけど、世界線を元に戻すと、他の人の記憶は失われてしまう。オカリンだけが、その記憶を持っている。これは本当にキツイ。自分だけが覚えていて、周りの人は忘れてるんだから。ところが、これはプレイヤーも同じなんですね。しかもプレイヤーは、各ルートで、「世界線を戻さなかった未来」も見た上で進めてるわけだからオカリン以上にツライというか罪深いというか。そして全てが元通りになり、「何も起きなかった、誰も何も覚えてない世界」に戻る事がハッピーエンドというつらい展開を見せた上で、『リーディング・シュタイナーって、実は誰もが持っている力なんだよ』と落とす所でもう涙が止まりません!

え/あれはまさに「これ以上無いハッピーエンド」でしたね〜。

つ/物語の舞台が2010年の話で、本当に「今の秋葉原」が舞台になってるからこそ、「今この時期」に遊ぶのを強くオススメしたい!!秋葉原という街の性格上、このゲームで描かれている「今の秋葉原」は数ヶ月後にはもういきなり激変しててもおかしくないんですから!あのゲームに出てる店が、数ヶ月後同じ場所で同じ名前で営業してるとも限らないんですから!!

え/自分も今から「今度秋葉原に行ったら、また違う感動があるんだろうなぁ」とわくわくしているんですよ。関東に住んでないとはいえ秋葉原は流石に何度も何度も行ったのでもう「秋葉原に行く」という行動そのものに新鮮味なんかとっくに失われて久しいんですが、感動値なんて摩耗しきってるんですが、改めて「秋葉原への憧憬」を蘇らせてくれたなぁ、と。ラジオ会館の屋上にいってみてぇ!!階段つかって。

つ/見慣れ過ぎた景色の再聖地化ですね。僕も、思わず写真撮っちゃったからね!ラジオ会館!

え/ラジオ会館で空を見上げている人がいたら、それは我々と同じラボメンと見て間違いない!! あいてはしぬ。

つ/また死んだ!!(笑)


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