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セプテントリオン

スーパーファミコン/ヒューマン・フィールド


我々は1921年9月13日、午後7時11分を忘れない。
予想外の嵐に会い、黒く重い潮を全身に浴びて悶え苦しんでいた豪華客船クリサニア号は、その浮沈性をあざ笑う大自然の猛威、
『記録的な大波』によってなす術も無く横転した。当時の乗客は2300名。そのほとんどが、船内で転落死を余儀なくされる。
まさに幸福から悪夢への転落。だが、悪夢から生還し船から脱出できた者も確かにいた。
若き建築技師キャプリス・ウィッシャー。牧師レドウィン・ガードナー。二等航海士ルーク・ハインズ。開業医ジェフリー・ハウエル。
彼らは如何にして困難を乗り越え、そして如何にして生存者を海上に導いたのか。
その物語が、今解き明かされる。


破天荒(以後「は」)/つー訳で、ゲームに詳しい人からすれば『やっと紹介かよ』と言われ、詳しくない人には『何、そのゲーム?SFCで?』と言われるであろう、文字通り『知る人ぞ知る』古典名作、セプテントリオンを今回紹介してみたいと思います。ホンマ、ヘビーユーザーとライトユーザーでの認知度が極端なまでに違うんよな、このゲームは。

有馬(以後「あ」)/当時の機種に慣れ親しんでて、『やっぱPCE最大の名作言うたら「マジカルチェイス」、メガドラなら「幽遊」や「ガンスタ」、そしてSFCなら「セプテントリオン」やわなぁ!』とか言われて『その通り!』と相槌打てるか、『いや、俺ならこのゲームを推すね!』と反論できるレベルでないと厳しいかもな。

は/俺だったらPCEに『ネクタリス』も推したい。『2』は除外な。

あ/いや、今反論されても困るが(笑)。

は/まぁ深く気にするな。とにかく話をセプテントリオンに戻すが、『スーファミの最高峰』と言われるに相応しい作品ですわ。SFCのウリである『回転機能』をゲームルールにこれでもかと生かし、そして決してグラフィックやウザい程長いテキストに頼る事なく、見事に重厚なドラマをつむぎ出してくれます。基本シナリオからも解る通り、要するにタイタニック号の事件をモチーフにした海洋パニックもののアクションゲームで、プレイヤーは上記4人のうち誰かを操り、様々なアクションをこなし「60分」と言うタイムリミットの下、沈みゆく船からの脱出を図ります。

あ/このゲームの勝利点と言うか、ウリはやっぱ「ただ沈没」するのではなく、『嵐の中横転した』とゆー乱暴な沈没の仕方である事やわな。ゲームを開始してしばらくは普通の船内を散策できるんやが、「時」が来て横転すると、いきなり上下が逆になる。ついさっきまで乗客に快適さを提供していた船内が、あまりにも凶悪なダンジョンと化す。船内で「墜落死」した死体の山、燃え盛る炎、雪崩れ込む海水、常に揺れ続ける船体。周りのもの全てが暴力に彩られた地獄へと変貌する中でのアクション、ええやないですか。

は/常に揺れてて、しかもその揺れ具合、揺れ角度が完全にランダムってのが酷くて凄ェ。「絶対」のクリアパターンが構築できねぇんだよこのゲーム。水平に保たれてる廊下を歩いてたら、数秒後には揺れと共に急斜面になって、しかも上から椅子や破片が降り注いで来たり。このゲームの、常に「死」と隣り合わせであると言うスリリング度合いは今だ他のゲームには負い越されてないかと思うが。

あ/何せ主人公は一切スーパーパワーなんて持ってない「ただの一般人」やからね。上記4人も、どんな能力差があるかって、ただ単に「若いから体力がある」「老獪だから説得力がある」ぐらいやもん。

は/そう、「説得」!大事だよなー。別にこのゲーム、主人公一人で単独脱出しようと思うなら、MAPさえ把握してれば簡単やもん。じゃあ何が難しくさせるのかって、その生存者の「探索」と、「説得」。そして脱出の「指導」。一応マルチエンディングを搭載していて、最終的に脱出した際引きつれていた生存者の数と質(「質」ってのも嫌な言い方だが)によって全然変わってくるからな。

あ/ああ、一切の無理なく、難易度を上げてるわなー。とりあえずその各主人公に対応する「パートナー」とその他大勢に2分されるが、その他大勢の陣容は、「健康な若い男性」とか一人ででも脱出できそうな奴は評価が低く、「老人」「子供」「怪我人」等、どう考えても脱出の難しそうな陣容を揃えれば、評価ポイントは大幅に上昇。要するにいいエンディング見たけりゃ苦労しろ、と(笑)。

は/でも、だからこそそこにドラマが生まれる。「自分なりのドラマ」が。このアクションゲームならではの操作の中に「手助けする」とゆーものがあって、仲間の手を取ったり引き上げてやったりする事が出来るんやが、このアクションと偶然の重なりが物凄いドラマティックな展開を生むんよ。俺がプレイした時もな、7人の生存者を引き連れて脱出口に向ってたんやが、どうしても避けて通れないルート上に大きな穴があってな。しかも落ちたら確実に死ぬ深さの。だからまず主人公が何とかジャンプして、向こう側に飛び移る。そしてそこで手を伸ばし、『俺が受けとめてやる!コッチに飛んで来い!!』と指示を出したんよ。で、皆必死になってジャンプして来て、運動能力の低い子供も何とかコッチの手助けで引き寄せてやり、そして最後の一人、中年男性が今まさにジャンプしようとしたその瞬間!船が不気味な軋みを上げ、突如傾斜角が激変!!着地地点を見失った彼は、主人公の手をすり抜け、絶叫と共に奈落の底へ・・・・・なんて展開があったんよ。もちろんコレ、ゲームそのものが用意してたイベントちゃうで?あくまで自分自身のプレイの中で、偶々起こ ったアクシデントなんよ。けど、その「偶々」のアクシデントに無茶苦茶シナリオ性が付与される。こんなゲーム早々あらへんよ・・・。

あ/大体、死んだキャラは一切復活なんかしないしな。まぁ主人公だけは数分のタイムロスのペナルティで生き返る事が出来るが(それはそれで痛い)、他の乗客は、大切な「パートナー」でさえ、途中で死んだらそこまでやん。

は/ちゃんとエンディングフラグの中に、「パートナーを救助」「パートナーを無視」そして「パートナーを救助するも脱出中に死亡」とゆーのが有るからな。

あ/シビアやなぁ。

は/甘えが許されない。だからこそ、ちょっと難易度高くて、プレイヤーを引かせてしまったってのも有るんやが。

あ/あ、それと言うの忘れとったが、このゲームはあくまで「スーパーファミコン」のゲームです。グラフィックも音楽も、当時としてもショボい部類に入るかも知れませんけれど間違い無くゲーム史に残る名作です。「スプラッターハウス」の時にも言うたけれど、最低限の表現力で最大限の効果を発揮してるからこそ、このゲームは凄いんよ。PS2のグラフィックでは出せない緊張感すら、この93年のゲームは出してます。

は/タイムリミットが30分を切るとボイラー室が爆発、船体も遂に直角に沈み行き、これまで傾斜角が左右40度前後だったのが一気に360度に激変するからな。プレイしてて『うわああああああッ!?』と取り乱す事必至。ただの長い渡り廊下が、地獄の直滑降になるんやから。

あ/けどその360度回転をも利用して進まないと脱出できないんよね。

は/「演出」だけに終わってない。「手段」として確実に有効利用できる。無駄がない。

あ/しかもその「演出」に「嘘」がない。このゲームには「敵」はおらへんし、「魔法」もない。ただ船全体に「凶暴性」が与えられただけ。

は/ホンマ、以前書いたけどこのゲームプレイして、『ああ、面白いゲーム作ろうって思うたらSFCぐらいのハード性能で十分じゃんよ!?』と思い知らされたで。

あ/何で最近のゲームって逆にときめかないのが多いんかな?

は/そらアレや、「職人芸」の違いや。同じ風景でも、「写真」で撮った物と、凄まじい精密さで描いた「絵」を比べたら、どっちかゆーたら後者の方を『凄ェ!』と思うやん?全国ロードショーの超大作映画でA級な映画を見れた時と、ミニシアターで低予算ながらA級な映画見れた時なら、後者の方がお得感満載やん?『出来て当然』と『それが出来るのは凄ェ』では言うまでもなく後者の方が評価できるんよ。

あ/あー、確かになぁ。SFCと言う過ぎ去った機種で、こんだけ映画並の臨場感見せ付けられたらそらシビれるわな。

は/ヒューマンって会社は『映画のような迫力とライブの様な臨場感を併せ持つ新ゲームジャンル』として「シネマティックライブシリーズ」(そのまんまやな、ネーミング(笑))を提唱しててな。このセプテントリオンもその1つやねん。だから、そーゆーのが得意な訳や。他のシリーズを見ても、純粋に「消防士」と「火災」の対決を描く名作「ザ・ファイヤーメン」とかあるしな。PSの「クロックタワー」も確かこのシリーズの一つやった気が。

あ/あれは「セプテントリオン」や「ファイヤーメン」に比べると毛色がちゃうけど、まぁ「ホラー映画」とゆーテーマやしな。

は/しかしそのヒューマンも、今は亡き会社・・・。あー、惜しい会社失ってるわなー。我々は。気付かぬうちにどんどんと。

あ/で、何か放談も締めに入ってますが、コレは一応言っといた方がええんとちゃうかなぁ、PS版「セプテントリオン」の存在(笑)。

は/ああ、SFC版に泥を塗りまくったアレか(笑)。プレステと言えばポリゴンやでー!とゆーいつものお約束パターンで移植されるも、チープなポリゴンで『逆に臨場感激減』。ジャンプしたら天上に指とかめり込むの何とかして下さい。それと助けた人々が主人公の後ろをゾロゾロと付いてまわるのはええんやが、主人公とまったく同じポーズをトレースして動くため、何かにつまずいて『おっとっと』とかバランス崩したら、後ろの7人全員が『おっとっと』とバランス崩す。白痴か

あ/間違って買わない事をお薦めしますわ(笑)。我々が薦めているのはあくまでSFC版とゆー事で。

は/PS版を間違って買って文句言われても対処しようないからな(笑)


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